【コラム】学年ごとの準備のポイント:年長ー1年生

 昨今は四谷大塚の全国統一小学生テストでは、小学生のみならず年長の秋からテストをしております。そこに万を超えるお子様が参加をしております。特に都市部においては、大学受験の上位には、公立高校ではなく私立高校・国立高校がずらりと並んでおり、東大をはじめとした最難関大学の受験に対して、中高一貫校が有意であるというのは否めないところで、それゆえに、少子化ではあれども、早い段階から中学受験を視野に入れた準備をされるご家庭は増加傾向にあります。

 早期の準備の是非は議論のあるところなのですが、この7歳までの時期に準備をしておきたいのは「非認知能力の向上」でしょう。非認知能力が幼児期から児童期の教育で注目されたのは、ノーベル経済学賞の受賞したジェームズ・ヘックマン氏が行った研究で「幼少期に非認知的な能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済的な安定につながる」という発表がされてからでしょう。2000年の頃です。

 非認知的能力とは、対義語にあるのは認知能力で、これはIQなどで図ることのできる力ですが、それに対して、測ることのできない力、と定義されます。具体的には、

  • 目標に向かって粘り強く頑張る力
  • 人とうまく関わる力
  • 感情のコントロール力

 このような3つの要素が挙げられます。これらをどう育てるのか、というのは議論がたくさんあるので一概にはここでは言えませんが、一般的には子供の自発的な部分を大事にし、させられるのではなく。自分からやっていく、という環境下で育ちやすいと言われております。また、そのような主体的に楽しく取り組める事象の中で、親御さんはただただ遊ばせる、取り組ませるのではなくて、失敗に対してどう対応するか、他人に迷惑をかけてしまったときにどうするのか、子供と一緒になって考え、ときに我慢をさせ、ときに苦しくても頑張らせながら、前に進んでいくことが大事、と言われております。

 特にこれから小学校に上がるような年齢、そして新しい環境である小学校1年生の時期、このような時期には、もちろん勉強の学科を進めることに興味を持っていく子もいるでしょうが、そうでない子に、無理に勉強を強いるのはあまりお勧めできません。好きなことを思いきっりやらせてあげ、その中で非認知的能力を培っていく、そういう取り組みの方がはるかに将来に良い影響が期待できるでしょう。

 とは言えども、何か準備になることを、、という場合は、1つこの時点でお勧めしたいのは、何をやる、でも、どのくらいやる、でもなくて、「勉強する時間を決める」という取り組みです。

 例えば、毎日朝ごはんを食べあっと、登校するまでの30分間に、毎日必ず勉強をする、というような形です。やることは学校の宿題でも、市販のプリントでも、タブレットで知育パズルをしても、なんでも良いでしょう。その代わり、別に週7日毎日必ず、とは言いませんが、1年間しっかり「その時間にやる」ことを続けて欲しいのです。

 小学校の1年生のうちに、毎日同じ時間に勉強する習慣がついていると、それが6年間続く可能性は極めて高いでしょう。さらに、このように「生活の一部に勉強が組み込まれている」ようになると、やっている本人にはだんだん「勉強している」という実感がなくなってきます。毎日ご飯を食べるかのように、勉強している、という感じですね。このようになっていくと、ふと誰かに「○○ちゃんて勉強よくできるけれども、どれだけ勉強しているの?」と聞かれると、ナチュラルに「え、全然していません」というような返しになります。そんわけはないのですが、そのようなケースの場合は、概ね「勉強が毎日の生活の一部に組み込まれている」状態になっています。

 こういう状態がどれだけこの後の学習を楽にするか、その30分の習慣があるケースとないケースを想像するとイメージにやすいのではないかと思います。