【コラム】学年ごとの準備のポイントー4年生
4年生は、もう受験をすると決めてガッツリ塾に通われる子も多くなっているでしょう。他方で、まだ受験をするかどうかは決めかねている、というケースも少なくない時期です。前者については、しっかりと通われている塾のカリキュラムをまずはしっかりとこなしていく時期です。後者については、昨今の受験事情を踏まえて、押さえておきたいことがあります。
それは、受験の可能性を考えるならば、算数だけは受験カリキュラムの基本コースでいいので取り組んでおきたい、ということです。予習シリーズならば、必修例題だけでいいです。あるいは、基本問題集レベル、でもいいです。それでも、4年のうちに、計算ならば、分数の計算を全てやりますので、普通の小学校ならば6年生まででやる内容を取り組むことになります。また、いわゆる○○算の代表的なものが概ね含まれてきます。和差算、植木算、分配算、消去算、つるかめ算、数列や場合の数、というようなところですね。これらの単元は、どの大手塾でも今は5年生ではなくて、4年生の段階でまず1回学習をしております。ですので、よしんば5年、あるいは6年から、よし受験しよう、となった時に、理社については多くても1年分を巻けばいいのですが、算数はもう1年分巻かないといけません。そこだけはなかなか骨の折れるところですので、受験の可能性を考えるならば、できれば算数だけは4年生のカリキュラムをこなしておきたいところです。
この際は、基本的なことの定着にしっかりと目を向け、いわゆる受験組がうけるようなテストでしっかりと点数をとる、というようなところは、この段階は成果指標として持たない方がいいでしょう。それをみられると、本人が嫌になってしまう可能性が高いです。
欲を言えば準備はなんでもした方がいいのですが、理科社会はまずは5年からで過不足なく十分取り組めます。国語については、そこまでの様子によって、早くから対処した方がいい(例えば、4年生だけど、2年生の漢字もままならない、など)ケースと、今のまましっかり学校の学習を続けていけば今はいい、というケースに別れるでしょう。いずれにせよ、決まっていない段階で、多くの負荷をかけることは、ほとんど良い結果を生みませんので、しっかりとラインを引いた取り組みが望ましいです。
ところで、4年生の時期はやはり、受験をするかしないかを悩むことも多い時期だと思います。それはある種当然で、子供はまだリアリティを持って受験を考えられる年齢ではないですし、大人サイドも、塾などに通ってないと、得られる情報が知人友人伝えがメインになると、バイアスがかかりすぎていて、甚だ内容が偏っていたり間違っていたり、そもそも絶対量が少なかったりします。だから、決断するには至らないけれど、どうしようか迷っている、と言う状態のことはたくさんあります。
このような時に強くお伝えしたいのが、「決断できないならば、決断はしない」と言うことです。受験をする、しない、と言うことについては、留保ならば留保でいいのです。決断できる時期というのは、その子の成長の様子、ご家庭のお考えなど、たくさんのファクターがありますから、一概に決め付けるものではないです。だから、「今は決断をしない」という判断は、それはそれで大きな選択肢です。
そこで、「受験する」と決めケースと、「しない」と決めたケースに加えて、もう1つ「まだ決められない」というケース、この3つのケースにおいて、それぞれどういう勉強をしていくか、ということを考えていくことが大事になります。
この3番目の「まで決められない」という状態で、大手塾のフルカリキュラムにお子様を入れるのは、これは避けるべきだと思います。SAPIXを筆頭にした、大手受験塾では、当然に「受験する」と意思決定していることを前提としたカリキュラムになっていますし、そういう意思で親御さんがいる=親御さんが全面的に協力する、ということを前提としております。ですから、「まだ決めていない」ということを認識した段階で踏み込んでしまうと、いわば、覚悟の決まっていない状態で踏み込んでしまうと、その取り組みの厳しさに直面して、「これをこなさないと受験はできないのか」というふうに思ってしまい、それによって「うちには無理」という判断に至りやすくなります。
しかし、同じカリキュラム、同じ課題量であっても、「受験すると決断した」ご家庭と、「まだ決られない」という状況では、全く取り組み方が違ってきますので、感じ方もまるで違ってきます。甲子園に絶対に行きたい、と思いを決めたチームが受ける地獄の特訓と、予選が1回戦で負けても楽しければいいや、と思っているチームが受ける地獄の特訓は、同じ内容でもまるで受け止め方は違います。前者は「当然だ」と思えるし、後者は「理不尽極まりない」と思うことでしょう。勉強でも同じです。